
AGA治療を調べていると、フィナステリドやデュタステリドと並んで「ミノキシジル」という名前を目にします。
この3つは同じAGA治療薬でも、役割が異なります。
AGAは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響などによって毛髪の成長期が短くなり、髪が十分に成長する前に抜けてしまう脱毛症です。
このAGA治療において、ミノキシジルは、毛髪の成長を促すことで発毛をサポートする薬です。
一方、フィナステリドやデュタステリドはDHTの産生を抑え、AGAによる抜け毛の進行を抑える方向に働きます。
つまり、ミノキシジルは「髪を育てる」、フィナステリド・デュタステリドは「抜け毛の進行を抑える」という異なる目的で使われる薬です。
ミノキシジルは、もともと高血圧の治療薬として開発された成分です。
服用した患者に多毛がみられたことから発毛作用が注目され、脱毛症の治療に利用されるようになりました。
ミノキシジルが発毛を促す詳しい仕組みは完全には解明されていませんが、毛包周囲の血流や毛乳頭細胞、毛母細胞などに作用し、毛髪の成長を促すと考えられています。
現在、ミノキシジルには頭皮に塗る外用薬と、口から服用する内服薬があります。

ミノキシジル外用薬は、ミノキシジルを頭皮に直接塗布する方法です。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、男性型脱毛症に対するミノキシジル外用は推奨度Aとされており、AGA治療における標準的な治療の一つです。
頭皮に直接使用するため、全身への影響を抑えながら発毛治療を行いやすいことが特徴です。一方で、かゆみや赤み、刺激感など、頭皮に副作用が生じることがあります。
ミノキシジル内服薬は、服用したミノキシジルが体内に吸収され、全身を介して作用します。外用薬より強い発毛作用が期待されることがありますが、その分、むくみ、動悸、血圧低下、多毛症など全身性の副作用に注意が必要です。
「内服のほうが効きそう」という理由だけで決めるのではなく、健康状態やAGAの進行度などを踏まえて判断することがとても重要です。
内服ミノキシジルについて、「日本ではAGA治療薬として承認されていない」と知り、不安に感じる方もいるかもしれません。
確かに、日本ではミノキシジル内服薬はAGAに対する効能・効果の承認を取得していませんが、決して「ミノキシジルという成分自体が危険」という意味ではありません。
ミノキシジル内服薬は、もともと高血圧治療に使われてきた成分で、発毛作用についても以前から研究されてきました。そのため、一部の医療機関ではAGAに対する適応外使用として処方されています。
大切なのは、ミノキシジル内服薬は全身に作用するため、持病や服用中の薬などを確認したうえで、医師が必要性を慎重に判断する必要があるということです。
そのことを理解せず、自己判断で使用したり、個人輸入で入手したりすることは避けましょう。
当院では、内服ミノキシジルを「発毛効果が期待できるから」という理由だけで処方するのではなく、健康状態を確認し、期待できる効果とリスクを説明したうえで治療方針を決めています。

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ミノキシジルによる治療を始めたあと、一時的に抜け毛が増えたように感じることがあります。いわゆる「初期脱毛」です。
髪には成長期・退行期・休止期というヘアサイクルがあり、AGAではこのサイクルが乱れています。
治療によって毛髪の成長が促される過程で、古い毛髪が抜け、新しい毛髪へ移行することで、一時的に抜け毛が増えることがあると考えられています。
この初期脱毛を知らずに、治療を中止してしまう方がいらっしゃいます。気になる変化があれば、自己判断で薬を中止せず医師に相談しましょう。
また、初期脱毛はすべての人に起こるわけではありませんが、抜け毛の増加が長く続く場合や急激に薄毛が進んだ場合には、初期脱毛以外の原因も考える必要があります。

AGA治療では、「どの薬が一番効くのか」と考えがちですが、重要なのは現在の薄毛の状態と健康状態に合った治療を行うことです。
当院では、薄毛の進行状態だけでなく、髪の太さや抜け毛の経過、健康状態、服用中の薬などを確認した上で、必要な治療計画をご提案し、治療をサポートいたします。

AGA治療は、薬を飲めば終わりというものではありません。毛髪の変化を定期的に確認しながら、効果と安全性のバランスを見て治療を続けていくことが大切です。
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